雑談力を伸ばす!雑談が苦手な人向けのビジネス雑談のコツ

目次

はじめに

雑談は「巧みな話術を披露する場」ではなく、「相手が気持ちよく話せる場を一緒につくる時間」です。ビジネスの立ち話、会議前の一言、取材の導入、初対面のアイスブレイク、どれも肝は同じです。相手を主役に据えて聴く姿勢と、会話を次へ進める相槌や質問の工夫です。雑談は自分が話す場ではなく、周囲が自然と集まる“居心地のいい火のまわり”を作ることを目指しましょう。

ここでは、雑談をインタビューのように「引き出して盛り上げる」観点で、5Sの相槌、YES/NOで終わらせない質問、連想で話題を広げる方法、不慣れなテーマのつなぎ方、オンラインでの反応の作り方まで、今日から使える実践メソッドを整理して紹介します。

雑談の基本姿勢:相手を主役に

なぜ相手中心で会話が広がるのか

雑談では、自分が話題を提供し続けるよりも、相手を主役に据える姿勢が重要です。人は誰しも自分自身に最も関心を持っているため、話題を相手に向けるほど会話は自然に広がり、相手から得られる情報も増えていきます。相手が話す時間が長くなることで、「きちんと聞いてもらえている」「理解してもらえた」という実感が生まれ、結果として心理的安全性が高まり、関係性もより温かいものになります。
そのため、雑談では「聞く:話す=8:2」程度を目安にし、沈黙を無理に埋めようとするよりも、相手の言葉を丁寧に受け止め、さらに話したくなるよう促すことを優先しましょう。コミュニケーション研修でも、話す量を抑え、聞く割合を意識的に増やすことが基本として推奨されています。

雑談力が高い人の3つの共通点

話題のベクトルを相手に向ける

天気の話で終わらせず、必ず相手へ矢印を向けるのがコツです。たとえば「今日は暑いですね」だけで終わらせず、「今日は暑いですね。30℃を超えるそうですよ。夏バテとか平気ですか?」のように具体化して質問に繋げます。相手の生活に結びつけると掘り下げやすくなります。

相手をよく観察して拾う

表情、声の張り、持ち物、オンラインなら背景、直近の行動などから「今」のヒントを見つけます。観察→仮説→質問の順で投げると的を外しにくいです。

等身大の自己開示で距離を縮める

小さな自己開示をしてすぐ相手に返す短いやりとりを重ねると親近感が生まれます。例:「朝はパン派なんです。◯◯さんは?」と30秒以内に相手にボールを戻すような感覚です。

話のとっかかりを作るテクニック

話し始めやすい入口をつくる

会話の最初の一言は、その後の流れを大きく左右します。いきなり本題に入ろうとすると相手に身構えさせてしまうため、まずは話し始めやすい入口をつくることが大切です。相手との距離を少し縮めるオープナーを用意しておくだけで、雑談はぐっと始めやすくなります。

親近感を生むオープナーを用意する

シーンオープナー例意図・効果
初対面/名刺交換「この役職、最近増えましたよね。どんな1日になるんですか?」仕事軸で相手に矢印
会議前「移動どうでした?今朝かなり冷えましたよね」目の前の体験を共有
オンライン「背景の本棚、気になります。最近のヒットは?」視界情報から即興ネタ
同僚と廊下「このあと外出です?そのバッグ、新調しました?」観察→問いで自然に開始
取材/インタビュー「今日のゴール、どんな状態だと嬉しいですか?」期待値合わせで主導権と安心感

(話題起点の覚え方:仕事・旅・趣味・気候・仲間・家族・ニュースの7領域を持っておくと初動が安定します。精神保健福祉士・産業カウンセラーの大美賀直子氏が紹介する語呂「親しき仲に(し・た・し・き・な・か・に)」で記憶しておくと便利です)

いきなり核心を聞かずワンクッション入れる

ジャブ(前置き)本題
「自分でも趣味を増やしたくて…」「◯◯さんは休日、何してます?」
「突然で恐縮ですが背景のギターが気になって」「何年くらい弾いてます?」
「もし答えづらければスルーしてくださいね」「転職を考えたきっかけは何でした?」

まず軽い前置きで安心と文脈を作ると、答えやすさがぐっと上がります。

不慣れな話題は馴染みの領域へ橋渡しする

相手の話題(不得意)橋渡しの共通項自分の得意領域へつなぎ質問
eスポーツの大会集中・緊張プレゼン・登壇「緊張のピーク、どこで来ます?」
釣り早起き・待つ時間早朝ラン「待ち時間の過ごし方、どうしてます?」
仮想通貨情報収集金融ニュース「何を見て判断してます?」

会話例(不得意→橋渡し→得意):
相手「最近、ゴルフ始めたんだ」
自分「いいですね。脚がけっこう疲れますよね?」
相手「1ラウンド回ると脚がパンパンになるよ」
自分「僕も運動不足気味で…。いいダイエット法あれば教えてください」
相手「たとえばこういう方法が……」

一つの問いを広げる設計

会話が続かない原因の多くは、質問そのものではなく、その先の広げ方にあります。一つの問いを起点に、話題を横に広げたり、深く掘り下げたりできれば、無理に新しい質問を考えなくても会話は自然に続いていきます。

一つの問いから二方向に広げる工夫

元の問い横展開(関連を広げる)縦展開(深掘りする)
「最近、どの辺でランチしてます?」「駅ナカ派?オフィス周辺派?」「その店、何が決め手でした?」
「休日は何してます?」「屋内派/屋外派ならどっち?」「始めたきっかけは何でした?」
「出張多いですか?」「国内と海外、どちらが多い?」「一番印象に残った移動トラブルは?」

コツは、返答する側も「一言+具体」を意識し、相手が話題を拾いやすいフックを用意することです。質問に具体的な情報や一言の補足(+α)を添えることで、会話をより深めやすくなります。

連想チェーンでテーマを展開する

きっかけワード連想1連想2次の質問例
冷房睡眠「夏の寝具、何か工夫してます?」
新しい部署学習コミュニティ「情報ってどこで集めてます?」
ゴルフ体力食事「疲れに効く食べ方、試してます?」
メンテ「雨の日用の靴、どれ使ってます?」

連想は「場所・時間・人・道具・目的」といった共通項に注目するとつなげやすく、相手の興味が自然に表れます。

YES/NOで終わらない聞き方に切り替える

NG(閉じる)OK(開く)ねらい
「忙しいですか?」「最近、土日はお休み取れてますか?」
「時間を一番使っているのは何ですか?」
具体の抽出
「楽しかったですか?」「どの瞬間がいちばん良かったですか?」情景の可視化
「大丈夫ですか?」「どこが一番やりづらいですか?」課題の特定

5W1Hなら「なぜ」「どのように」を軸にする

×情報取り○理由・方法続ける一言
「いつ始めました?」「なぜ始めようと思ったんですか?」「きっかけ、覚えてます?」
「どこでやります?」「どのように続けてるんです?」「工夫してる点は?」
「誰と行きます?」「誰の影響を受けました?」「その人のどこに惹かれました?」

ラリーを続ける返し方

会話を途切れさせないためには、質問する力だけでなく、返し方の工夫が欠かせません。相手の言葉を受け止めたうえで次の一手を添えることで、やり取りはスムーズに続いていきます。

返答には具体的な問いを添える

雑談や会話を広げたいときは、5W1Hの中でも「なぜ」「どのように」を軸にするのが効果的です。返答する際は、結論だけで終わらせず、具体的な問いを添えることを意識しましょう。たとえば「結論(R)+具体的な質問(Q)」という形で返すと、自然に会話のラリーが続きやすくなります。「最近は自炊が増えました」と結論を伝えたうえで、「夜は10分で作れるもので、何か定番はありますか?」と質問を添えるイメージです。また、自己開示をする場合も、抽象的に語るのではなく具体から入ることで、相手は反応しやすくなります。

質問を受けたら聞き返しで会話をつなぐ

相手からの質問には、答えて終わりにせず、Q(質問)→A(回答)→再Qの流れを意識することで、会話の交通量を増やすことができます。結論だけを返すのではなく、簡単な補足を添えたうえで相手に問いを返すと、自然にラリーが続きます。また、受け流しを避けるために、単なる肯定や否定で終わらせないことも重要です。たとえば「ゴルフはやりません」と答える場合でも、「代わりにサーフィンには興味があります」と関連する話題を添えることで、次の会話につながりやすくなります。

盛り上がるリアクションと相槌

相槌は「5S」を指標にする

感情のベクトルを乗せると、相手は「通じた」と感じやすくなります。

S意味セリフ例効用注意点
Surprise驚き「え、初マラソンで完走!?すごい」承認・盛り上げ大げさすぎると軽く聞こえる
Spoof茶化し「それ、ズルいタイミング(笑)」距離を縮めるネガティブな話題には避ける
Sorry残念/いたわり「それは骨が折れましたね…」共感・受容過剰な同情は不要
Suspect疑念/ツッコミ「本当に?裏ワザあるでしょ(笑)」リズム・ユーモア浅い関係では控えめに
Sympathy共感/代弁「朝のあの混雑、心折れますよね」心情の言語化事実とずれる共感は逆効果

実例(同僚が「最近、仕事がうまくいっていなくて……」と言った場面)

  • 驚き:「えっ、本当に!? 何かあったの?」
  • 茶化し:「なーに言ってんの! 大丈夫だから自信持ちなよ」
  • 残念:「それは大変だね……。きっとそのうち良くなるよ」
  • 疑念:「そうかなぁ? 私は思い過ごしだと思うけどな」
  • 共感:「本当につらそうだよね。担当の取引先が厄介なんだよね」

ポイントは、まずSympathy(共感)とSurprise(驚き)を軸にして、SpoofやSuspectは関係性を見て少量使うこと。単に「大変でしたね」より「資料差し替えの連絡が直前に来るのは堪えますよね」と具体語で受けると響きます。

話を映像で思い描きながら反応する

相手の話に反応するときは、内容を頭の中で映像として思い描くことが効果的です。映像化する際は、「場所」「人」「動作」「時間」「音」という5つの要素を意識すると、情景が具体的になります。たとえば「野球部のマネージャーでした」と聞いたら、「ベンチにも入っていましたか?」「練習後の片付けはどれくらい大変でしたか?」といったように、イメージの中で足りない部分を質問に変えることで、会話を自然に深めることができます。

30秒ごとに小さなリアクションを返す

会話のリズムを保つためには、30秒ごとに小さなリアクションを返すことが効果的です。目安として、うなずきや要約、一言の相槌(「なるほど」「つまり〜ということですね」など)を挟むことで、やり取りに心地よいテンポが生まれます。相手が1〜2分ほど話している場合でも、途中で「それって……」といった短い合いの手を入れることで、話をきちんと聞いていることが伝わり、相手は安心して話し続けやすくなります。

話題の見つけ方と広げ方

相手が話しやすい領域から入る

テーマ具体質問例派生の糸口
仕事「今、一番時間を使う業務は?」工夫/ツール/チーム
「最近の移動で印象に残った場所は?」交通/食/写真
趣味「始めたきっかけは?」コミュニティ/道具/練習
気候「季節で生活のリズム変わります?」睡眠/服/食
仲間「最近よく一緒にいる人って?」学び/価値観
家族「朝の役割分担どうしてます?」時短/習慣
ニュース「最近“自分ごと化”した話題は?」仕事/生活への影響

会話が広がりやすい5つのテーマ

カテゴリ例質問深掘りの鍵
食べる「平日の昼、何を基準に選びます?」時間/価格/健康
動く「通勤以外で体を動かす機会は?」習慣化/仲間
働く「最近、やめた作業はあります?」省力化/仕組み
お金を使う「最近のよい投資(時間/お金)は?」期待/成果
寝る「寝つきを良くするルーティンは?」環境/デバイス

日頃から雑談に使える情報を集めておく

日頃から雑談に使える情報をストックしておくことも大切です。たとえば「雑談ノート」をつける習慣を持ち、1日3行程度で「見たこと・食べたもの・人から聞いた話」を書き留めてみましょう。その際、店名や地名などの固有名詞を一つ入れるだけで、会話のきっかけになりやすくなります。地元の話題や社内の出来事、業界のちょっとしたニュースを短くまとめて話せるよう練習しておくと、いざというときも安心です。

また、観察力を高めるトレーニングとして、1日1回は相手の持ち物から連想できる質問をメモしておくのも効果的です。さらに商談前のリサーチでは、相手企業の事業内容や商品、最近のプロモーションやニュースリリース、採用ページの情報などを押さえておくと、会話の入り口となる話題を増やすことができます。

ビジネス現場で活きる雑談のコツ

相手に気持ちよく話してもらう場づくり

物理的な配置にも気を配りましょう。座る向きは真正面よりも少し斜めにしたほうが、相手に与える圧が和らぎ、リラックスした雰囲気をつくりやすくなります。ただし、場面によっては正対するほうが適している場合もあるため、状況に応じて使い分けることが大切です。

また、時間への配慮も欠かせません。「5分だけ雑談しませんか?」のようにあらかじめ枠を示すことで、相手は安心して会話に応じやすくなります。さらに、頷きや微笑み、相手の言葉をそのまま引用するミラーリングを意識すると、「聞いてもらえている」という安心感が伝わり、会話がより円滑に進みます。

質問内容にひと工夫を加える

接続フレーズ使い方例効果
ということは…「ということは、朝型にシフト中?」要約→確認
そうすると…「そうすると、道具は最小限派?」仮説→検証
ちなみに…「ちなみに、最初の一歩は何でした?」脇道で広げる
もし許せば…「もし許せば、失敗談も聞きたい」配慮表明

接続フレーズを挟むと流れを作りやすく、相手も答えやすくなります。
例:
相手「趣味はテニスです」
自分「ということは、学生時代からずっとやられてるんですか?」
自分「そうすると、健康にはけっこう気を付けているタイプですか?」
自分「ちなみに、ほかにもスポーツされてます?」

苦手な相手・状況への向き合い方

興味のスイッチを自分で入れるコツ

苦手な相手や状況に向き合うときは、「興味を持てない自分」を責める必要はありません。最初から関心が湧かなくても、知らないことをそのまま受け止め、「知ってみたい」という好奇心に変換するだけで、会話のハードルは下がります。

相手とのやり取りを、観察・仮説・検証を繰り返す小さな研究のように捉えてみましょう。そうすると、相手の行動の裏にある習慣や価値観、背景が少しずつ見えてきます。「なぜその習慣が続いているのか」「どのように始めたのか」といった問いを投げかけることで、苦手意識を和らげながら、会話を前に進めることができます。

不得意テーマでも橋渡しで話をつなぐ

時間や道具、所属しているコミュニティ、これまでの失敗やそこから得た学びなど、共通項になりそうな切り口を意識的に探してみましょう。そうした要素を手がかりに話題をつなぐことで、一方的な会話にならず、双方が無理なく参加できる着地点へと自然に誘導することができます。

リモートワーク時代の雑談アップデート

オンライン特有の現象ありがち課題対策
無音の開始空気が冷える「30秒の雑談枠」を最初に宣言
反応が伝わらない話しづらさ表情+ジェスチャーをやや大きめに(2〜3割増しの感覚)、声のトーンに抑揚
同時発話のストレス会話がちぎれる名指しリレー「◯◯さん、どうです?」を導入
画面外の情報不足観察材料が乏しい背景/デスク小物/天気/時間帯をネタ化

オンラインで伝わらない最大の理由は「対面と違うことをしてしまう」点です。カメラOFFは顔を隠す行為に近い印象を与えがち。やむを得ない事情を除き、可能ならONを基本に、対面と同じ基本(挨拶・目線・相槌)を意識して取り入れてください。

おわりに

雑談をうまくする秘訣は、面白い話をいくつ持っているかではなく、相手を主役に据える場づくりと会話を前に進める技術を日々積み重ねることです。最後に、ポイントをあらためて整理します。

  • 相手中心(観察→仮説→質問)
  • 一問二答(横と縦に展開)
  • 5S相槌(感情を乗せる)
  • 30秒の小さなラリー(交通量を増やす)
  • 不慣れ話題は橋渡し(共通項でつなぐ)
  • オンラインは反応を“やや大きめ”(見える化)

今日からできることはシンプルです。挨拶に一言の観察を添え、開かれた質問を一つだけ投げてみてください。その“最初の一歩”を繰り返すうちに、会話の温度は確実に上がっていきます。

国内最高精度96.2%の音声認識で、議事録作成のお悩みを解決しませんか

会議をデータ化し、DXを推進したい
会議後すぐに議事録を共有したい
議事録作成の業務負荷を減らしたい

SecureMemoは、クラウド/オンプレミス両対応の文字起こしツールです。
独自の音声認識AI「shirushi」により、96.2%の認識精度で会議音声を自動で文字起こし。
話者識別・自動要約・多言語翻訳など、議事録作成に必要な機能をすべて備えています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次