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OpenAIの新たな一手!オープンウェイトAIモデル「GPT-OSS」とは?

目次

はじめに

ChatGPTの開発元であるOpenAIが、新たなAIモデル「GPT-OSS」を公開し、世界中の開発者やAIに関心を持つ人々の間で大きな話題となっています。これは、同社が5年以上前に「GPT-2」を公開して以来、初めてとなる大規模なオープンウェイトモデルのリリースです。

「自分のパソコンで高性能なAIが動かせる」「しかも無料で商用利用も可能」そんな夢のような話が現実になりました。この記事では、GPT-OSSとは一体何なのか、その驚くべき性能から、誰でも簡単に試せるインストール方法、そして具体的な使い方まで、分かりやすく徹底解説します。

GPT-OSSとは?

GPT-OSSは、OpenAIが公開した新しい大規模言語モデルのファミリーです。最大の特徴は、これまで主にクラウドサービスとして提供されてきたOpenAIの高性能モデルを、個人のPCや自社のサーバー上で直接動かせる点にあります。

「オープンウェイト」モデルという新しい形

GPT-OSSは、厳密には「オープンソース」ではなく「オープンウェイト」モデルと呼ばれます。

  • オープンソース: AIの設計図(ソースコード、訓練データなど)がすべて公開されており、誰でも自由に改良・再配布できます。
  • オープンウェイト: AIの頭脳にあたる「重み(ウェイト)」ファイルのみが公開されます。設計図は非公開ですが、完成品であるAIモデル自体は自由にダウンロードして実行、カスタマイズできます。

これは、言わば「秘伝のレシピは教えないけれど、完成した料理は自由にアレンジして商売に使っていいですよ」というようなものです。OpenAIは、自社の競争力の源泉である中核技術を守りつつ、開発者コミュニティに強力なツールを提供することで、AI技術の普及とイノベーションを加速させようとしています。

なぜ今、公開されたのか?

OpenAIがこのタイミングでGPT-OSSを公開した背景には、激化するAI開発競争があります。Meta社(旧Facebook)の「Llama」シリーズをはじめ、高性能なオープンソースAIが次々と登場し、OpenAIの独走状態に待ったをかけていました。

また、金融や医療など、データのプライバシーが極めて重要な業界では、「外部のクラウドサービスに機密情報を渡したくない」というニーズが高まっています。GPT-OSSは、こうしたオンプレミス(自社環境内)での利用を可能にすることで、新たな市場を開拓する狙いもあります。


GPT-OSSの性能は? 2つのモデルを徹底比較

GPT-OSSには、用途に応じて選べる2つのモデルが用意されています。

モデル名gpt-oss-120bgpt-oss-20b
ターゲット企業、プロ開発者向け一般ユーザー、開発者向け
総パラメータ数1170億210億
特徴非常に高い性能を持つ推論エンジン軽量で、一般的なPCでも動作可能
得意なこと複雑な数学、コーディング、専門分野のQ&Aコード実行、エージェント的なタスク
必要なPCスペック80GB以上のVRAMを搭載した高性能GPU16GB以上のメモリを搭載したPCやスマホ

得意なこと、苦手なこと

GPT-OSSは、一般的なチャットボットとは少し性格が異なります。

  • 得意なこと: 推論、数学、コーディングといった「考える」タスクに特化して訓練されています。複雑な問題を解決したり、プログラムを書いたりする能力は非常に高いです。
  • 苦手なこと: 一般的な知識を問うような、いわゆる「物知り」的なタスクは少し苦手です。そのため、他のモデルに比べてハルシネーション(事実に基づかない情報を生成すること)を起こしやすい傾向があります。

これは欠陥ではなく、意図的な設計です。GPT-OSSは「知識をたくさん記憶する」ことよりも、「与えられた情報から論理的に答えを導き出す」能力を優先しているのです。そのため、Web検索などのツールと組み合わせることで、その真価を発揮します。

他のオープンモデルとの性能比較

では、他の有名なオープンモデルと比べて性能はどうなのでしょうか。主要なベンチマークスコアを見ると、GPT-OSSの推論能力の高さが際立っています。

ベンチマークgpt-oss-120bLlama 3 70BMixtral 8x7BDeepSeek R1
MMLU (総合的な知識・問題解決能力)90.0%82%-88%82%-84%87.0%
AIME (数学コンテストレベルの数学力)97.9%86%-89%~85%97.6%
GPQA (専門家レベルの科学知識)80.1%~77%-83%~72%-80%76.8%

この表から、特に数学や科学といった高度な推論が求められる分野で、GPT-OSSが他の強力なモデルと同等か、それ以上の性能を発揮していることがわかります。


GPT-OSSのインストール方法と使い方

「高性能なのはわかったけど、使うのは難しいのでは?」と思うかもしれませんが、心配は無用です。専門知識がなくても、驚くほど簡単にGPT-OSSを試すことができます。

最も簡単な方法: Ollamaを使う

Ollama」というツールを使えば、いくつかのコマンドをターミナル(WindowsではコマンドプロンプトやPowerShell)で実行するだけで、自分のPC上でGPT-OSSを動かせます。

まずは、軽量なgpt-oss-20bモデルを試してみましょう。

  • Ollamaをインストール: 公式サイト(ollama.com)から、お使いのOS(Windows, macOS, Linux)に合ったインストーラーをダウンロードして実行します。
  • モデルをダウンロードして実行: ターミナルを開き、以下のコマンドを入力します。 ollama run gpt-oss:20b

これだけで、モデルのダウンロードとセットアップが自動的に行われ、すぐにチャットを始められます。gpt-oss-120bを試したい場合は、コマンドの末尾をgpt-oss:120bに変更してください(ただし、こちらは高性能なGPUが必要です)。

その他のツール

Ollama以外にも、以下のようなツールやプラットフォームでGPT-OSSを利用できます。

  • Hugging Face Transformers: Pythonコードでより柔軟にモデルを扱いたい開発者向けの標準的なライブラリです。
  • LM Studio: GUI(グラフィカルな画面)で直感的にモデルを管理・実行できる人気のツールです。
  • クラウドサービス: Microsoft Azure、Amazon Web Services (AWS)、Databricks といった主要なクラウドプラットフォームでも提供されており、大規模なアプリケーションに組み込むことも可能です。

応用編: GPT-OSSをさらに活用する

GPT-OSSは、ただチャットするだけでなく、より高度な使い方が可能です。

  • ファインチューニング: 特定の業界の専門用語や、自社独自のデータを追加で学習させることで、あなただけの「特化型AI」を作ることができます。例えば、公式チュートリアルでは、多言語での推論能力を後から追加する方法が紹介されています。
  • AIエージェントの構築: GPT-OSSは、Web検索やPythonコードの実行といった「ツール」を使う能力を持っています。これを活用すれば、最新情報を調べてレポートを作成したり、データを分析してグラフ化したりといった一連の作業を自動化する「AIエージェント」を構築できます。

「Apache 2.0」ライセンスと商用利用について

GPT-OSSは「Apache 2.0」という非常に寛容なライセンスで提供されています。これにより、誰でも無料で、かつ商用目的でモデルを利用、改変、配布することが可能です。

これは、競合であるMeta社のLlama 3ライセンス(月間アクティブユーザーが7億人を超えると別途ライセンスが必要になるなどの制限がある)と比較して、ビジネスで利用する際の障壁が非常に低いことを意味します。

ただし、OpenAIが定める利用ポリシーも遵守する必要がある点には注意が必要です。


まとめ

この記事では、OpenAIが新たに公開したオープンウェイトモデル「GPT-OSS」について解説しました。

  • GPT-OSSとは: OpenAIが公開した、ローカル環境で実行可能な高性能AIモデル。
  • 性能: 「考える力」に特化しており、特に数学やコーディングで高い性能を発揮する。用途に応じて120bと20bの2種類から選べる。
  • 使い方: Ollamaなどのツールを使えば、誰でも簡単に自分のPCで試すことができる。
  • ライセンス: Apache 2.0ライセンスにより、無料で商用利用も可能。

GPT-OSSの登場は、開発者や研究者だけでなく、私たちビジネスパーソンにとっても、AI活用の可能性を大きく広げるものです。データプライバシーを確保しながら、自社のニーズに合わせてAIをカスタマイズできる――そんな新しい時代の幕開けと言えるでしょう。まずは手元のPCで、その驚くべき性能を体験してみてはいかがでしょうか。

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